“元ヤン”の萌子をアツく演じている新川さん。現場でも真摯に役と向き合うその姿がとても印象的です。8月1日分の放送で萌子の悲しい過去が明らかになりましたが、ここまで萌子を演じての感想を聞きました。
――第4週で孝介が家族と会うのを諦めた場面の撮影で、新川さんはリハーサルのときから涙を流していましたね。
「もし私だったら、大切な仲間が辛い目に遭ったときには優しい言葉をかけます。萌子ちゃんは“それでいいのかよ!”って怒りながら孝介に詰め寄りましたけど、それはぶきっちょというか、あまり上手に生きられない彼女なりの優しさの表れなんです。
そんな心情をどう表現すればいいのか難しかったですけど、(渡辺)いっけいさんがリードしてくださったし、“たんぽぽ”のメンバーもみんな最初から目が潤んでいて…。それで私もリハーサルから気持ちがググッと入り込めました。すっかり萌子ちゃんの気持ちになれていたので、本番では思いきって、孝介(高橋賢人)くんの頬をビンタできました(笑)」
――“元ヤン”でさらに子供を産んでいた…、という設定は最初、どう思いましたか?
「もう“未知の世界”でしたね。あまりに本当の私とかけ離れた設定だったので、『私に演じられるだろうか』と不安のほうが大きかったです。少年院で過ごしていたときの気持ち、子供を出産したときの気持ち…。そのとき、そのとき、監督さんやスタッフの皆さん、それにいっけいさんもいろいろアドバイスしてくださるので、皆さんの言葉を参考にしつつ、演じています。
撮影が進み、少しは萌子としての存在感が出せていると思うし、そうであったらいいなと思っていますが、ここからさらに萌子という人物をしっかり作り上げていきたいです」
――自分なりに“萌子に成りきれた!”と思うときは?
「それは自分では分からないです。今もどれくらい近づけているんだろう…。決めて下さるのは監督さんを始めとするスタッフの皆さんであり、またこの作品を観て下さっている視聴者の皆さんだと思うので。ただ、萌子ちゃんとして存在していたい、とは常に思っています」
――新川さんは素の自分に近い役と遠い役と、どちらが演じやすいですか?
「本当の自分と遠い、と言ってもいろいろあると思うんです。例えば由貴ちゃんみたいな役(笑)。きっと私があの役を演じるとしたら、それはそれで今回とは違う苦労があると思いますね。今はまだ、自分に近い役のほうが演じやすいです。
今回は本当に挑戦であり、賭けでした。演技の経験の少ない私がどこまで演じられるか、という。でも現場に入って、萌子ちゃんという役に巡り会えて良かったと心から思っています。先輩方からいろいろなアドバイスをいただけて、現場に一体感があって。この現場にいられることに感謝しています」
――ではあえて聞きますが、自分と萌子の共通点とは?
「何でもストレートに言っちゃうところかな…。萌子ちゃんは不器用だし、言葉もキツいけど、仲間にキツいことを言ったあとで、『このバカ!』と自分で自分を責めながら一人で泣いたりしているんですよね。自分の思っていることや気持ちを上手に伝えられないとこは似ていると思います」
――自分の子供と会うシーンの撮影はいかがでしたか?
「もともと子供がいる、という設定は最初から聞いていたので、台本を読んで“来た”と思いました。それで最初は『どうせなら、息子役は可愛い子がいいな』って思いました(笑)。撮影で子役の子と初めて会ったときは、役としてこの子と血の繋がりはあるけれど、“親子”と言い切れない気がしたので、無邪気に笑う息子にどんな表情で接すればいいのか考えました。
スタッフさんに『子供どうこうでなくても、人って生きていれば何かを手放さなきゃいけないときってあるよね』と言われ、その言葉を大切に子供とのシーンを演じたんです。撮影のときは本当にありがたかったですね。自分一人では道が開けないとき、スッと手を差し伸べてもらえることなんて、そうそうないと思うので」
――実際に萌子の過去を演じ、心境に変化はありましたか?
「萌子ちゃんの内に秘めていたものがより具体化しました。台本を読んで泣いたし、感動もしましたが、私のすべきことは感じたこの気持ちを何十倍、何百倍にして視聴者の皆さんに届けることだと思ったんです。もし、ドラマを観て萌子ちゃんの思いが少しでも皆さんに届いていたらうれしいです」
――今回はとても難しい役に挑戦していますが、女優として今後の目標は?
「私が出た作品が終わったとき、ドラマなら最終回を迎えたときに、『新川の演じた役が言ったあのセリフが良かったね』と思ってもらえる演技が出来るようになりたいです。私の演じた役がその作品を観てくださった方の心に、少しでも存在していられるお芝居ができる女優さんになりたいですね」