私のブログ"縁"の精神を象徴するような方が、
名古屋の割烹、北陸の味えんらくの女将、宮下和子さんです。
店を訪れる人を笑顔で迎え、どんな先客とも和して
瞬時に居心地の良い空間を作り出してしまう達人です。
宮下さんは富山県黒部市生まれ、
姉夫妻が宇奈月温泉の老舗旅館「延楽」に勤めていた縁で
当時の女将に推され、昭和48年名古屋へ・・・
オープンしたばかりの「延楽・名古屋店」で仕事を始めました。
そして昭和63年には、晴れて店を任されるまでに。
当時は好景気の名残で80人入れる店が、一晩で3回転するほどの忙しさ。
入りきれない客が、他の店で待つほどの賑わいでした。
平成3年、店の大改装を経て約25年、四半世紀を女将として過ごしました。
(改装後の店内)
そんな宮下さんに転機が訪れたのは13年前のこと。
働きづめに働いて体調を崩し、一か月の入院と手術を余儀なくされました。
そこで気づいたのが、力を抜くことの大切さ・・・
日々の出会いと縁に改めて感謝し、楽に暮らす。
生き方を変えようと、思ったのです。
食材を生かす活性水を試してみたり、
お客に出す料理も自分の口にするものも
もう一度見つめなおしました。
ただこの時、宮下さんは微妙な時代の変化、
8つの個室を持つ大きな店を切り盛りする厳しさを
感じていたのです。
そして惜しまれつつ去年3月、中区の新栄で親しまれた
名店「延楽・名古屋店」は、長い歴史に幕を下ろしました。
(新栄のお店、最後の日)
店を閉めた時は正直ホッとしたという宮下さんですが、
落ち着かない日が続きました。
やめたら、後ろを振り向かないと誓ったのに、この気持ちはなんだろう。
周りには同じくらいの世代の人が、まだまだ元気に仕事をしている・・・
いくつになっても人様の為に働きたい、それは自分の為でもある。
そう思うといてもたってもいられず・・・
自分の納得する店を探しに奔走しました。
そこでまた新たな人との出会いがあって、わくわくしたと言います。
その筆頭が三重県尾鷲出身、和食一筋20年の料理長、
野村征次郎さんです。
たくさんの縁をつないで宮下さんは、60代の再挑戦!
開店の案内状は、750通にもなりました。
そして今年3月4日、名古屋の錦3丁目という一等地に
「割烹北陸の味えんらく」がオープンしました。
沢山の思いが詰まった。、カウンター5席テーブル12席のお店です。
「私は幸せな女だと思う。」宮下さんはそう言います。
「いつも助けてもらえるから」
思えば必ず願いは叶う・・・毎日感謝で手を合わせます。
(名物の絶品、ます寿司を手に・・・)