かつて家庭に一つはあった「砂時計」
調理の時間を計ったり、そう学校にもありましたね。
日本で唯一、ひょうたん型のガラスで作られた砂時計専門の職人、
金子實さん。
金子さんは、1946年東京の葛飾で生まれました。
父親は、研究用の理化学ガラス機器を作っていましたが、
戦後、貿易会社の依頼で、輸出用の3分砂時計の製作を始めました。
そのうち"ゆで卵"用の「エッグタイマー」が好評を得て、
下請けを動員し3万個を輸出するヒット商品となりました。
實さんも高校卒業後、家業を手伝いガラス加工技術を学び始めます。
その後、機械式タイマーの普及もあり、砂時計の実用性は
次第に失われていきました。
砂時計生産が減り続ける中、金子さんは一つ一つ吹きガラスで作る
美しい芸術品としての砂時計の世界を築き上げました。
使う砂も砂鉄だけでなく、
カラー砂や思い出の詰まった砂のオーダーメードにも応え、
各地で個展も開かれています。
その心意気は、息子で3代目の勲さんにしっかり受け継がれ、
これからも砂時計の新しい歴史が刻まれます。