認知症の方は高齢者のおよそ400万人以上、
そのほぼ同数が、将来認知症になる可能性がある
"予備軍"と言われています。
認知症を未然に防ぐ目的で、
座ったままでも楽しく体を動かす事が出来る体操が、
名古屋で編み出されました。
その名も「あゆむん体操」
考えたのは、名古屋市内の鍼灸師・服部吉隆さんです。
服部さんは、名古屋市中区で工業薬品や着色剤などを扱う会社の
3代目として生まれ、
家業を継ぐつもりで、鈴鹿にある「国立高専」で5年間「化学」を学びました。
ところが卒業後服部さんが目指したのは、東洋医学の道でした。
その訳は、戦後シベリア抑留から衰弱して帰国した父・清さんが
鍼灸の治療により元気を取り戻し、仕事へ復帰出来るまでになった事。
新たな進路の選択は、母の後押しがありました。
<写真右前が吉隆さん>
当時、愛知県内で東洋医学を学べる学校はわずか2校、
その一つ、中和医療専門学校に入学しました。21歳の頃です。
<写真中央>
卒業後は母校の講師として、教壇に立つ事に・・・
32年経つ今も、後進の指導にあたっています。
卒業生の数も増え、開業するつもりはなっかった服部さんも
優秀な教え子が小規模な鍼灸院で奮闘する姿を見て、
のびのびと働ける場を、自身で作ることは出来ないかと
17年前一念発起!!
<創業当時>
現在、名古屋市内に展開する「ガイアそうこ」の前身「地球創庫」を
立ち上げました。
今は、鍼灸院と在宅治療合わせて約40人のスタッフが働いています。
在宅治療で200人ほどの患者さんを診るうち、
お年寄りの中には、寝たきりそれに近い人、
認知症の予備軍になる方が、沢山いらっしゃる事に気づきました。
そこで総院長である服部さんを中心にスタッフ総出で知恵を出し合ったのが
「あゆむん体操」です。
転倒することなく、車椅子に座ったままでも出来る健康体操。
寝たきりの患者を、一人でも減らしたい・・・
そこには、厳しいシベリア抑留から引き揚げ、元気を取り戻した、
父・清さんの姿が重なるのかもしれません。