郁造にだまし討ちのように雄一とのお見合いの席に連れてこられた桜子は、無神経で下品な雄一に激しい嫌悪感を抱くが、自分が雄一と結婚しなければ、莫大な借金を抱えている「いさみ酒造」に未来はないことを知る。しかも郁造から「お前と比呂人は血の繋がった兄と妹だ」と告げられ、大きな衝撃を受ける。最愛の桜子を窮地に追い込んだことで、郁造は罪の意識にさいなまれる。秀ふじに思いのたけをぶつけるうち、郁造は酒造を傾かせるきっかけとなった、桜を裏庭に移植した時の話を始める。湯水のように金銭を使った当時のことを思い出すうち、「あの桜の下で死にたい」と秀ふじにつぶやいた郁造は...。